目次
- この記事でわかること
- 前提:キャリアコンサルタントの年収は職種で大きく違う
- 公的データで見る年収分布
- なぜ差がつくのか(雇用形態・インセンティブ・専門領域)
- キャリアコンサルタント資格が活かせる職種5選
- ① 人材紹介会社のキャリアアドバイザー
- ② 事業会社の人事・人材開発
- ③ 大学キャリアセンター・学校のキャリア支援
- ④ 公的就労支援機関(ハローワーク・地域若者サポートステーション等)
- ⑤ 独立・フリーランス(研修講師・複業)
- キャリアコンサルタントが年収を上げる3つの方法
- 専門領域を持つ(IT・医療・金融など)
- 上位資格を取る(2級・1級技能士)
- 本業と掛け合わせる
- 未経験からこの5職種を目指す手順
- STEP1 養成講習を受ける
- STEP2 国家試験に合格する
- STEP3 実務経験を積む
- よくある質問
- Q. キャリアコンサルタントは独占業務の資格ですか?
- Q. 未経験からでもキャリアコンサルタントとして働けますか?
- Q. キャリアコンサルタントだけで生計を立てている人はどのくらいいますか?
- Q. 年収を上げるには何をすればよいですか?
- Q. 資格の更新講習は必ず必要ですか?
- まとめ
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「キャリアコンサルタントの資格を取っても年収が上がるのか分からない」——この疑問に対する結論は、資格そのものより「どの職種・どの働き方で使うか」で年収の分布が大きく変わる、というものです。国の調査でも、キャリアコンサルティングだけで生計を立てている人は登録者全体の約4割にとどまり、その年収は最頻値で200万〜400万円未満というデータがある一方、事業会社で人事と兼務する層は正社員の平均に近い水準に分布しています。同じ資格を持っていても、企業領域で使うのか、公的機関で専業として使うのか、独立して使うのかによって、見えてくる年収のレンジはまったく違います。この記事では、公的統計と求人データをもとに、資格を活かせる代表的な5つの職種を年収の目安つきで比較します。
この記事でわかること
| 項目 | 結論 |
|---|---|
| 年収を左右する要因 | 資格の有無そのものより「企業領域・公的機関・独立」のどこで使うかという職種選びで年収の分布が大きく変わる |
| 活かせる主な職種 | 人材紹介のキャリアアドバイザー、事業会社の人事・人材開発、大学キャリアセンター、公的就労支援機関、独立・フリーランスの5つ |
| 資格だけで生計を立てている人の実態 | 登録者全体の約4割にとどまり、その年収は最頻値で200万〜400万円未満(JILPT調査) |
前提:キャリアコンサルタントの年収は職種で大きく違う
まず押さえておきたいのは、キャリアコンサルタントは資格を持たない人がこの名称を名乗ることを禁じる「名称独占資格」であり、キャリアコンサルティング業務そのものを行うことを制限する「業務独占資格」ではないという点です。相談業務自体は資格がなくても行えるため、資格の価値は「その名称と専門知識を、どの職場でどう使うか」によって発揮のされ方が変わります。この前提を踏まえたうえで、公的データから年収の実態を見ていきます。
公的データで見る年収分布
- 回答者全体の個人年収は300万〜400万円未満が最多で16.5%、次いで400万〜500万円未満が14.5%
- ただしこれは「キャリアコンサルティング以外の収入も含めた」個人年収であり、資格由来の収入とは限らない
- 個人年収に占めるキャリアコンサルティング関連活動の収入割合は「0%」が41.2%で最多、「91〜100%」が21.0%と二極化している
労働政策研究・研修機構(JILPT)が国家資格キャリアコンサルタント登録者を対象に実施した調査(有効回収7,586通)によると、回答者全体の税込み個人年収は「300万〜400万円未満」が16.5%で最多、「400万〜500万円未満」が14.5%、「200万〜300万円未満」が13.8%と続きます。中央値は「400万〜500万円未満」で、報告書は「回答者の半数は個人年収が400万円以上」としています(JILPT『労働政策研究報告書No.227』2023年、図表2-3)。
ただし、この数字には注意が必要です。これは「キャリアコンサルティング以外の収入も含めた」個人年収であり、資格そのものが生み出している収入ではありません。実際、個人年収に占めるキャリアコンサルティング関連活動の収入割合を見ると、「0%」と答えた人が41.2%で最多、次いで「91〜100%」が21.0%という二極化した結果になっており、無回答を除く中央値はわずか5.0%です(同、図表2-4)。つまり、資格を持つ人の半数近くは、年収のほとんどをキャリアコンサルティング以外の本業から得ているのが実態です。
このデータは、「キャリアコンサルタントは資格を取っても仕事がない」「意味がない」といった声が出てくる背景とも重なります。この点は「仕事がない」と言われる理由を整理した記事や「意味がない」と言われる理由を整理した記事でも詳しく扱っていますが、本記事の主張はその一歩先です。資格由来の収入がゼロに近い人が多い一方で、キャリアコンサルティングを主な生計手段にできている層も一定数存在し、そこには職種選びによる明確な差があります。
キャリアコンサルティングに関連する活動だけで、あるいは主に生計を立てている人は、登録者全体を合わせるとおよそ4割です。JILPTの報告書は、この層の年収は最頻値で200万〜400万円未満であり、生計を立てられるようになるまでには通算活動年数が5年〜10年程度かかること、そして主に「学校・教育機関」「需給調整機関」「地域」の領域で日常的に相談業務を行っていたことを記しています(同、第3章まとめ)。
なぜ差がつくのか(雇用形態・インセンティブ・専門領域)
- 企業領域で活動する人の多くは、キャリアコンサルティング以外の本務(人事・人材開発など)を持ちながら兼務している
- 需給調整機関・地域領域で活動する人は、専業でキャリアコンサルティングを行う割合が高い
- 同じ「キャリコン活動が中心」の人でも、雇用形態によって年収分布はまるごとズレる
なぜこれほど差がつくのでしょうか。JILPTの調査は、活動の場と生計状態の関係も明らかにしています。「キャリアコンサルティング以外だけで生計を立てている」人では企業領域が57.4%を占める一方、「キャリアコンサルティングだけで生計を立てている」人では需給調整機関が44.3%、地域が10.6%と有意に大きくなっています(同、図表3-23)。つまり企業領域は「本業の収入がありつつ兼務で資格を使う」働き方、公的機関・地域領域は「資格を使った相談業務そのもので生計を立てる」働き方という対比があるのです。
さらに、キャリアコンサルティング活動が個人年収の80%以上を占める人に限って雇用形態別に年収分布を見ると、その違いがはっきり表れます(同、図表2-11)。
| 年収区分 | 正規雇用(n=229) | 非正規雇用(n=832) | フリーランス・個人事業主(n=219) |
|---|---|---|---|
| 100万円未満 | 0.0% | 2.2% | 12.3% |
| 100万〜200万円未満 | 0.9% | 7.6% | 25.6% |
| 200万〜300万円未満 | 8.3% | 27.3%(最多) | 26.0%(最多) |
| 300万〜400万円未満 | 21.8% | 25.2% | 16.9% |
| 400万〜500万円未満 | 23.1%(最多) | 26.0% | 5.9% |
| 500万〜600万円未満 | 14.4% | 7.6% | 5.5% |
| 600万〜700万円未満 | 10.0% | 2.3% | 2.7% |
| 700万〜800万円未満 | 7.0% | 0.6% | 1.4% |
| 800万〜900万円未満 | 5.2% | 0.7% | 0.9% |
(出典:JILPT『労働政策研究報告書No.227』2023年、図表2-11)
正規雇用者は「400万〜500万円未満」を頂点とする分布である一方、非正規雇用は「200万〜300万円未満」が最多、フリーランス・個人事業主も同じく「200万〜300万円未満」が最多で、100万〜300万円未満に厚みがある分布になっています。同じくらいキャリアコンサルティング業務に従事していても、雇用形態が違うだけで年収の山がまるごとズレることが分かります。
また、この16年間で活動領域そのものにも大きな変化が起きています。需給調整機関領域(派遣・ハローワークなど)の割合は2006年の47.9%から2022年には20.5%へ減少し、代わって企業領域が24.2%から41.7%へ拡大しました(同、図表8-12〜8-14)。なお、これは「割合」の変化であり、報告書は人数ベースで見ると企業領域・活動領域なしの人数が大きく増える一方、需給調整機関領域はおおむね横ばいとも指摘しています(同、図表8-17・8-18)ので、「需給調整機関の仕事そのものが消えた」と読むのは誤りです。あくまで、資格の使われ方の重心が需給調整機関から企業領域へ移ってきている、という変化として捉えてください。
なお、JILPTの報告書自身も「キャリアコンサルタントの賃金水準が低く、優秀で熱意ある人材が集まりにくい」という問題意識に言及しています。資格を取れば自動的に収入が上がるわけではなく、職種・雇用形態による構造的な差があることは、都合の悪い事実として避けずに押さえておく必要があります。
キャリアコンサルタント資格が活かせる職種5選
ここからは、実際に資格が活かされている代表的な5つの職種を、年収の目安・雇用形態・未経験からの入りやすさ・資格の効き方で比較します。
| 職種 | 年収の目安 | 雇用形態 | 未経験可否 | 資格の効き方 |
|---|---|---|---|---|
| ①人材紹介会社のキャリアアドバイザー | モデル年収559万〜572万円(マイナビ転職2025) | 正社員中心 | 未経験・第二新卒歓迎の求人が多い | 必須要件としての明記は少なく、信頼の裏づけとして働く |
| ②事業会社の人事・人材開発 | 「人事」職種平均549万円(doda 2025) | 正社員(人事本務との兼務が中心) | 社内異動が中心。未経験からの転職は一定のハードル | セルフ・キャリアドックなど社内制度の運用に活きる |
| ③大学キャリアセンター等の学校のキャリア支援 | 公開求人が少なく、任期付き・契約職員での募集が目立つ | 契約・任期付きの募集が中心 | 教育・学生支援の経験があると有利 | 必須ではないが、選考で歓迎・有利に働く傾向 |
| ④公的就労支援機関(ハローワーク・サポステ等) | 契約社員で月給22万〜23万円程度の実例あり | 非正規・契約が中心 | 未経験可(優遇要件どまりの求人が多い) | 必須ではなく優遇。運営母体によって重みが異なる |
| ⑤独立・フリーランス(研修講師・複業) | 200万〜300万円未満が最多の分布 | 個人事業主 | 実務経験を積んだうえでの独立が中心 | 信用の担保として実務上は重要 |
① 人材紹介会社のキャリアアドバイザー
- 仕事内容:転職を希望する求職者との面談、求人企業とのマッチング、選考・条件面のすり合わせ
- 年収の目安:マイナビ転職「職種別モデル年収平均ランキング2025」(調査期間2024年4月〜2025年3月)によると、キャリアカウンセラーは104位でモデル年収559万円、人材コーディネーターは91位で572万円です。なお、このモデル年収は同サイトの掲載求人に記載されたモデル年収例から算出した値であり、在職者を対象とした実態調査の平均ではありません。実際の求人票でも、キャリアアドバイザー職で年収420万〜800万円、500万〜800万円といったレンジの提示が見られます(マイナビ転職掲載求人)。ただし、この上限額は成果連動の要素を含むレンジの上限であり、平均的な水準として読むものではありません。
- 資格がどう効くか:人材紹介業界のキャリアアドバイザー求人は「未経験・第二新卒歓迎」が主流で、国家資格キャリアコンサルタントを応募必須・歓迎要件として明記した求人はあまり見当たりません。営業力・コミュニケーション力を重視する求人が中心のため、資格は「専門知識の裏づけ」として選考や面談の質を支える位置づけになります。なお「キャリアアドバイザー」自体は資格不問の職種名であり、キャリアコンサルタント(国家資格)とは法律上の位置づけが異なります。両者の違いはキャリアコンサルタントとキャリアアドバイザーの違いとは?資格の有無・仕事内容・なり方を整理で詳しく整理しています。
- 向いている人:営業や対人対応の経験があり、成果に応じたインセンティブがある働き方に前向きな人
- 求人の探し方:マイナビ転職・dodaなどの転職エージェント系サイトで「キャリアアドバイザー」「キャリアカウンセラー」で検索し、営業経験や実績よりも「相談業務の経験」を評価する求人票かどうかを確認するのがポイントです。求人の探し方をさらに詳しく知りたい方は未経験からの転職に関する記事も参考にしてください。
② 事業会社の人事・人材開発
- 仕事内容:社員のキャリア面談、1on1、セルフ・キャリアドックの企画・運用、研修設計、リスキリング支援
- 年収の目安:doda「平均年収ランキング2025」(2024年9月〜2025年8月、正社員登録者約60万人対象)によると、「人事(企画/管理系)」の平均年収は549万円です。正社員全体の平均年収429万円と比べるとやや高い水準にあります。ただしこの数字は転職サービスに登録した人を母集団とする集計であり、母集団が転職市場に偏っている点には留意が必要です。また、これは人事職全体の平均であって、キャリアコンサルタント資格を持つ人の年収を示したものではありません。
- 資格がどう効くか:JILPTの調査では、キャリアコンサルタントの「主な活動の場」として企業を挙げた人は全体で39.0%、兼任・兼業者に限ると52.0%に達し、有意に大きい傾向が確認されています(同、図表3-11)。報告書は「企業を主な活動の場とするキャリアコンサルタントの多くは、人事や人材開発といった本務を持ち、その傍らキャリアコンサルティングを兼務で行う働き方が多いと考えられる」と分析しています。また正規雇用者の現在の職種を見ると「人事・総務・事務・管理」が49.8%で最多です(同、図表2-14)。事業会社の人事・人材開発を個別に募集する求人票で「国家資格キャリアコンサルタント」を明示した実例は今回確認できませんでしたが、既存の人事業務にキャリア面談・セルフ・キャリアドックの専門性を上乗せする形で資格が活きるケースが中心です。
- 向いている人:すでに人事・人材開発の実務経験があり、社内のキャリア支援機能を強化したい人
- 求人の探し方:一般の人事求人の中に、キャリア面談やセルフ・キャリアドック担当としての業務が含まれることが多いため、求人票の「業務内容」欄まで確認する必要があります。人事担当者向けの活かし方は人事担当者とキャリアコンサルタント資格の記事で詳しく解説しています。
③ 大学キャリアセンター・学校のキャリア支援
- 仕事内容:学生の就職相談、キャリア教育科目の運営、インターンシップ・就職活動支援
- 年収の目安:JILPTの調査では、学校・教育機関を主な活動の場とする人は全体で22.3%、専任・専業者に限ると24.6%と有意に大きくなっています(同、図表3-11)。個別求人票での具体的な年収レンジは公開情報が少なく、任期付きの特任教員・契約職員としての募集が目立つ傾向にとどまります。金額を断定できるだけの一次情報は確認できていないため、本記事では具体的な金額の提示を避けます。
- 資格がどう効くか:大学キャリアセンターの求人では「必須ではないが、キャリアコンサルタント資格を保有していると採用で有利」とされる傾向があり、応募書類に資格証の提出を求める公募も見られます。ただし資格を持っていることが即採用に直結するわけではありません。
- 向いている人:教育・学生支援に関心があり、任期付き・契約職員としての働き方も選択肢に入れられる人
- 求人の探し方:大学教員公募サイトのほか、各大学の採用ページで「キャリアセンター」「就職支援」の職種名を確認します。専任・専業として継続的に活動したい場合は、雇用期間・更新条件を事前に確認することが重要です。
④ 公的就労支援機関(ハローワーク・地域若者サポートステーション等)
- 仕事内容:求職者・若年者への就労相談、職業紹介の補助、地域の就労支援プログラムの運営
- 年収の目安:地域若者サポートステーションの実求人では、契約社員(年度更新)で月給22万〜23万円程度、別の運営団体では月給285,600円〜という実例が確認できます。いずれも非正規・契約中心の雇用形態です。
- 資格がどう効くか:求人によって扱いが異なります。ある求人では「国家資格キャリアコンサルタント、就労支援経験者優遇、未経験でも可」と資格を優遇条件に挙げている一方、別の求人では社会福祉士・精神保健福祉士が必須とされ、キャリアコンサルタント資格には触れられていません。運営母体・業務内容によって資格の重みが異なる点に注意が必要です。JILPTの調査でも、需給調整機関を主な活動の場とする人は専任・専業者で35.8%と有意に大きく(同、図表3-11)、「キャリアコンサルティングだけで生計を立てている」層のうち44.3%がこの領域に集中しています(同、図表3-23)。
- ここが重要な注意点です:公的就労支援機関は、未経験からキャリアコンサルタントとしての実務経験を積む入り口としては現実的な選択肢である一方、契約・非正規雇用が中心で、正規雇用や企業領域と比べて年収が伸びにくい傾向があります。「専業としてキャリコンで生計を立てる」層の多くがこの領域にいることと、その年収の最頻値が200万〜400万円未満であることは、切り離さずに理解しておく必要があります。
- 向いている人:まずは実務経験を積みたい未経験者、公的な支援の枠組みで働きたい人
- 求人の探し方:各自治体の地域若者サポートステーション、ハローワークの求人情報、社会福祉法人・NPO法人の採用ページを確認します。資格が「必須」なのか「優遇」なのかを求人票ごとに必ず確認してください。
⑤ 独立・フリーランス(研修講師・複業)
- 仕事内容:個人でのキャリア相談、企業向け研修講師、社会保険労務士など他の専門性と組み合わせたコンサルティング
- 年収の目安:キャリアコンサルティング活動が個人年収の80%以上を占めるフリーランス・個人事業主(n=219)の年収分布を見ると、「200万〜300万円未満」が26.0%で最多、「100万〜300万円未満」に厚みのある分布です(同、図表2-11)。正規雇用者の分布(400万〜500万円未満が最多)と比べると、明確に低い水準に偏っています。
- 資格がどう効くか:雇われる働き方と異なり、独立では「資格を持っていること」自体が対外的な信用の担保として実務上重要になります。JILPTの調査では、就業状況として正規雇用が5割強、非正規雇用が約27%、フリーランス・個人事業主が約7%、キャリアコンサルティング以外の分野でフリーランス・自営を行う人が5%程度おり、後者は主に社会保険労務士を含むコンサルティングや研修講師として活動しています(同、第2章まとめ)。
- 向いている人:企業領域や公的機関である程度の実務経験を積み、本業や他の専門性と組み合わせて活動したい人
- 求人の探し方:雇用される求人としてではなく、実績・人脈をもとに案件を獲得する働き方が中心です。いきなり独立するのではなく、まず企業や公的機関で実務経験を積んでから移行するケースが多い点は押さえておきたいところです。
未経験からの転職・求人の探し方全般については、こちらの記事でさらに詳しく整理しています。
キャリアコンサルタントが年収を上げる3つの方法
ここまで見てきたように、同じ資格でも職種・雇用形態によって年収の分布は大きく異なります。そのうえで、年収を高めていくための方向性を3つ整理します。
専門領域を持つ(IT・医療・金融など)
キャリアコンサルティングは扱う相談内容が幅広い分、特定の業界・職種に強い専門性を持つ人材は差別化しやすくなります。IT業界の技術職向け、医療・介護職向け、金融業界向けなど、特定の業界知識と組み合わせることで、企業領域での採用や、独立後の案件獲得において選ばれやすくなる可能性があります。ただし、専門領域を持てば必ず年収が上がるという保証はなく、その領域での実務経験や人脈の有無によって効果は変わってきます。
上位資格を取る(2級・1級技能士)
キャリアコンサルタント資格の上位に位置づけられるのが、職業能力開発促進法に基づく国家検定「キャリアコンサルティング技能士」です。2級は「熟練レベルのキャリアコンサルタント」と位置づけられており、受験には一定の実務経験などの要件があります(詳細な年数は試験実施団体の最新情報を確認してください)。上位資格の取得は、企業領域での専門職としての評価や、研修講師・スーパーバイザーとしての活動につながる可能性がありますが、取得すれば自動的に年収が上がるわけではありません。
なお、キャリアコンサルタントの登録には5年ごとの更新があり、更新には知識講習8時間以上・技能講習30時間以上、合計38時間以上の受講・修了が必要です。更新の仕組みについては以下の記事にまとめています。
本業と掛け合わせる
前述のとおり、企業領域で活動する人の多くは人事・人材開発などの本務を持ちながら兼務でキャリアコンサルティングを行っています。すでに人事・教育・福祉・営業などの実務経験がある人にとっては、資格を「ゼロから新しい仕事に就くための手段」としてではなく、「今の仕事の専門性を高めるための手段」として位置づけるほうが、無理なく年収の土台を作りやすい考え方です。リスキリングの一環として資格取得を検討する場合も、この掛け合わせの発想は有効です。
会社員のまま週末や夜間に個別面談・セミナー講師などを副業として引き受ける形もあり、単価相場や案件の探し方は次の記事にまとめています。
未経験からこの5職種を目指す手順
ここからは、未経験の状態からキャリアコンサルタントとして5つの職種を目指す場合の、大まかな手順を整理します。
STEP1 養成講習を受ける
キャリアコンサルタント国家試験の受験資格は、(1)相談援助の実務経験3年以上、(2)厚生労働大臣が認定する養成講習(150時間)の修了、(3)キャリアコンサルティング技能検定の合格、のいずれかを満たす必要があります。実務経験がない場合は、養成講習を修了するルートが現実的な選択肢になります。
養成講習の費用は専門実践教育訓練給付制度の対象になっているスクールもあり、本人が雇用保険の加入期間などの受給要件を満たす場合には、学費の一部が支給されるケースがあります。誰でも無条件に対象になるわけではないため、対象講座であることと本人の受給資格の両方を事前に確認する必要があります。給付金の条件については以下の記事で詳しく解説しています。
養成講習を実施するスクールは費用・受講形式・卒業後のサポート体制などに違いがあります。例えば株式会社リカレントの養成講座は、社会人スクールとして40年、キャリアコンサルタント育成に特化して23年(広告主公表値)の実績があり、厚生労働大臣が定める150時間のカリキュラムを、キャリアコンサルティング技能士24名を含む総勢108名の講師陣から学べる点が特徴です。通学とフルオンラインを選べ、平日夜間・土日のコースもあるため、働きながらの受講もしやすい設計になっています。スクールによる違いをまとめて比較したい場合は、以下の記事も参考にしてください。
STEP2 国家試験に合格する
養成講習の修了後、あるいは実務経験の要件を満たしたうえで、国家試験(学科試験・実技試験)を受験します。試験の申込から合格発表までの一連の流れは、以下の記事で解説しています。
学科試験の対策方法については、学科試験の対策記事も参考にしてください。
STEP3 実務経験を積む
国家試験に合格し登録が完了したあとは、いきなり独立を目指すのではなく、まずは企業・人材紹介・公的機関のいずれかで実務経験を積むのが現実的な進め方です。前述のとおり、キャリアコンサルティングだけで生計を立てられるようになるまでには通算5年〜10年程度かかるとする調査結果もあり、資格取得後すぐに専業として高い年収を得られるわけではありません。まずはこの記事で紹介した5つの職種のうち、自分の経験・志向に近いところから実務を始め、そこから専門領域や上位資格へとステップアップしていく流れが現実的です。
よくある質問
Q. キャリアコンサルタントは独占業務の資格ですか?
いいえ。キャリアコンサルタントは、資格を持たない人がこの名称を名乗ることを禁じる「名称独占資格」であり、キャリアコンサルティング業務そのものを行うことを制限する「業務独占資格」ではありません。相談業務自体は資格がなくても行えるため、資格の価値は職種選びや実務での使い方によって左右されます。
Q. 未経験からでもキャリアコンサルタントとして働けますか?
人材紹介会社のキャリアアドバイザー職や公的就労支援機関の求人では、未経験・第二新卒を歓迎する募集が見られます。一方、事業会社の人事・人材開発職は社内異動が中心で、未経験からの転職はハードルが上がる傾向があります。職種によって未経験からの入りやすさが異なる点を押さえておくとよいでしょう。
Q. キャリアコンサルタントだけで生計を立てている人はどのくらいいますか?
JILPTの調査(2022年6月時点、有効回収7,586通)によると、キャリアコンサルティングに関連する活動だけで、または主に生計を立てている人は登録者全体のおよそ4割です。その年収は最頻値で200万〜400万円未満であり、生計を立てられるようになるまでに通算活動年数が5年〜10年程度かかるとされています(JILPT『労働政策研究報告書No.227』2023年、第3章まとめ)。
Q. 年収を上げるには何をすればよいですか?
特定の業界・職種に強い専門領域を持つこと、キャリアコンサルティング技能士などの上位資格を取得すること、そして人事・教育・福祉などの本業とキャリアコンサルタントの専門性を掛け合わせることが方向性として考えられます。ただし、いずれも取得すれば自動的に年収が上がることを保証するものではなく、実務経験や勤務先の環境によって効果には差があります。
Q. 資格の更新講習は必ず必要ですか?
はい。キャリアコンサルタントの登録有効期間は5年で、更新には厚生労働大臣が指定する更新講習を合計38時間以上(知識講習8時間以上・技能講習30時間以上)受講・修了する必要があります。詳しい内容は更新講習の解説記事にまとめています。
まとめ
キャリアコンサルタントの年収は、資格の有無そのものよりも「どの職種・どの雇用形態で使うか」によって大きく変わります。JILPTの調査では、キャリアコンサルティングだけで生計を立てている人は登録者全体の約4割にとどまり、その年収は最頻値で200万〜400万円未満です。一方で、事業会社の人事・人材開発職のように本業と兼務する形で活かす場合は、正社員の平均に近い水準に分布しています。
本記事で紹介した人材紹介のキャリアアドバイザー、事業会社の人事・人材開発、大学キャリアセンター、公的就労支援機関、独立・フリーランスという5つの職種は、それぞれ年収のレンジも、未経験からの入りやすさも異なります。「資格を取れば年収が上がる」という単純な話ではなく、自分の実務経験や志向に合った職種を選び、専門領域や上位資格でステップアップしていく視点が重要です。
養成講習の受講から資格取得までの流れをより具体的に知りたい方は、スクールごとの費用・特徴を比較した以下の記事もあわせて参考にしてください。








